ごあいさつ

ごあいさつ

2021年度日本造園学会の開催にあたって

 

 2021年度の日本造園学会全国大会にご参加いただき、心より感謝申し上げます。
 昨年度のオンライン全国大会に引き続き、今年度の全国大会はオンラインを併用したハイブリッド式での大会開催となりました。昨年度の挨拶でも書きましたが、造園学会は本来、膝をつき合わせ、対面で議論を交わしてこその学会であると信じています。しかし、心ならずも二年連続でこのような開催方法となりましたことを残念に思っております。一方で今回は、できる限り対面での機会を設けることも考えての開催となりました。多くの会員の皆さまにはまだ会場においでいただくことは難しいとは思いますが、少しでも多くの方々にその機会を楽しんでいただくことを考えた結果が今回のハイブリッド開催です。
 コロナ禍が始まって以降のこの一年の間に、世界の生活は大きく変容しました。その中で、世界中の人々は憩いの場、あるいはリフレッシュの空間として、近くにある公園や緑地を訪れるようになりました。実際に、国内の公園利用は最初の非常事態宣言中から増加しています。その傾向はより身近な公園で顕著であり、さまざまなイベントや仕掛けではなく、単純に緑があるゆとりのある空間が、近隣に生活する人々によって強く求められるようになっていることがわかります。この欲求は今後も増加し続けると考えられます。歴史的に見て、根源的に都市域の公園に求められてきたこのような需要が今、改めて認識されるようになっているのです。そこでは、近年公園に求められるようになってきた経営効率ではなく、緑の量、さらには質が求められるようになっています。よりリラックスできる空間の創出、維持管理のための技術、技能は私たちがすでに長い時間をかけて培ってきたものです。原点に立ち返ってそれらを改めて考えることは重要であり、今の社会が最も求めていることを真摯に考察することは必要不可欠です。
 このような理想像を求めるための対話は、何度も繰り返される経験に基づく議論、さらには現場での検証によって行われる必要があります。今回の全国大会は少しでもそのような機会を創出するべく計画されました。無理は申しませんが、事前の万全の体調管理をいただいた上で、可能な会員の皆さまだけでも仙台に足を運んでいただけると幸いです。
ご存じのとおり、今年は東北大震災10年目にあたります。この10年を検証することが積極的に震災復興に取り組んできた本学会にとって重要な節目となっています。日本造園学会が連綿と続けてきた震災復興の実態を実際に目にしていただくことは、まもなく創立100周年を迎える学会にとって不可欠だと考えています。会員の皆さまが仙台を現場と情報を共有する場にできること、仙台で新たな経験を積めることを期待したいと思います。
 最後に、このような状況の中で、全国大会の準備に尽力いただきました、関東支部、関東支部とともに東北での開催に積極的に協力いただきました東北支部、大会実現に尽力いただいた企画委員会、ハイブリッド開催の実現に向けてさまざまなアイデアを出して実現いただいた学術委員会、そのほかにも総務委員会や編集委員会等々、数多くの皆さまのご努力に心から感謝申し上げます。
 このような書面での挨拶はコロナ禍の前にはありませんでした。直接メッセージをお送りできなくなったことから、昨年度からはじめさせていただきましたが、来年度はこのようなことをすることなく、全国大会会場で直接皆さまと交流ができる日が来ることを祈念してこの挨拶を終わりたいと思います。
会員の皆さま、今回も存分に知識を吸収し、情報を交換していただきたいと思います。活発な交流を期待しております。